「うちじゃ飼えないでしょ、すぐに戻してきなさい」のイメージをそろそろ返上しよう。

私たちの頭の中にいつからか刷り込まれた印象のようなもの。ふと何かについて考えたとき、それに対して思わず連想してしまう具体的な情景。今回はそんな「イメージ」について書いてみたいことがあります。

いきなり極端ではありますが、たとえば宇宙人。「ワレワレハ、ウチュウジンダ」という有名なあのセリフ、一度は聞いたことはないでしょうか。これの元ネタは、1957年に東宝が製作した「地球防衛軍」という映画だそうです。

宇宙人が侵略してくるストーリーの草分け的な作品で、独特の声色で発せられた例のセリフは当時かなりインパクトが大きかったのでしょう。その影響は、映画作品だけでなく雑誌やテレビなど様々なメディアを通して拡散され、長い時を経た今でさえ、私たちの頭の中に深く印象付けられています。

さて、このように漠然と根付いたイメージについて、ひとつどうも気にかかるものがあるので、いよいよここから本題に入っていきたいと思います。おそらくアニメやドラマからきているのだと思うのですが、それは主人公である子供が道ばたで行き場を失った子猫(または子犬) を拾って家に帰ったときのシーンにあります。

子供は「子猫がお腹を空かせていたよ、きっと行くところがないんだ、うちで飼っちゃだめ?」と母親にお願いするのですが、その母親はきまってこう言うのです。

「うちじゃ飼えないでしょ、すぐに戻してきなさい」

母親に一方的に叱られた子供はしょんぼり落ち込みながら、子猫に向かって「ごめんね、ママがだめだって言うんだ」と謝ります。

これ、私が小さいころから本当に印象が強いのです。
そこで思うわけなのですが、このイメージ、もうそろそろ返上してもいいのではないでしょうか。

小さな命に手を差し伸べた子供の優しさが、見事なまでの頭ごなし加減でくしゃりとねじ伏せられてしまう様は、観ている側の胸をぐっと苦しくさせるには充分です。また、こんなふうに叱って子猫を元の場所に捨ててこさせるなんてことをさせたら、子供心にどんなに深い傷を与えてしまうか分かりません。

そして、最も懸念されるのは、たとえどんな相手であろうと弱いものを助けるということはどこか後ろめたいものである、という印象を植え付けてしまうことになりかねない、というものです。

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「困ってた子猫に優しくしてあげてえらかったね。でもね、今うちじゃどうしても一緒に暮らせないの。分かってね。だからこの子がどうしたら安心して幸せに暮らしていけるか、お母さんといっしょに考えながら相談してみよう。」

というわけで、いつかこんな母親が出てくるドラマやアニメを観てみたいな、なんてこっそり思っていたりするわけです。そして、近い将来、人間の都合で描かれた視点だけでなく、どんな命であっても軽視されることのない心あるイメージが大きく広がっていくことを望みます。

それからさらにいえば、いつの間にか刷り込まれたイメージなんてものに左右されたりせず、常に物ごとの正しさを自分自身の考えで判断し、行動できる人間がひとりでも多く増えていくことを願ってやみません。そんなふうに私は考えます。